秘密

気付いてほしいことがある。
そこはかとなくどころか、あからさまに示しているつもりなのに、気づかれないことがある。
察してもらいたいことなのか。
己のことさえわからぬのに、赤や青や緑や茶の他人に言わずとも理解してもらおうなど、笑止千万。
けれど一方で、知られたくないことを、一所懸命隠しているはずなのに、言い当ててくる者がある。
頭隠して尻隠さず。
きっと隠し切れていないのだ。
己のことを心配して欲しいのだろうか。
その一方で、決してサトラレたくないと。


気付いて欲しくないことを、指摘された時、それは逆効果。
また必死で隠そうとし始める。今まで以上に。
そして本当に知られたくなかったことを見失ってしまう。


救おうとしているその一言が、追い詰めているなんて、別にわかってもらおうなんて思っていない。
過程はともかく、結果があるだけ。
どれだけ遠い道程でも、どこを辿ろうとも同じこと。


己さえ、どれだけ気付いているのかと。
理由を尋ねられた所で、ただ漠然としか思い浮かばず、適格であるかさえわからず、けれど創ってでも、示せばよかったのかと。