2日間

丸二日でも他人と触れないで入ると、外界人の存在になれず、不安になる。息苦しくなるのを、ストレスに聞くというツボを、親指がもげそうなほど思いっきり押してみて、出来るだけ他人の呼気を吸わないように、けれど大きく深呼吸をして落ち着こうとする。脈も速い。落ち着かなければ。駅のホームで背中を丸め、鞄を思い切り  盗まれて困るものなど何もないのに  抱え込む。次の電車が着たら乗り込まなければならない。出なければ遅刻だ。これまで何本電車を見送ってきただろう。降りてくる人間の、乗り込んでいく人間の目線を、誰も気にしてなどいないと自分に言い聞かせ、避けてきたことか。中々進まぬ身体を見越して早めに出てきた結果がこれだ。さあ、列車がやって来た。出来るだけ乗客は少ないほうがいい。平日の真昼間だ。そんなに人間もいないだろう。いても、誰も彼も関係ないと、まばらに座ってくれればいい。自分も、その関係ない人間の一員なのだと、そう感じられれば。自分だけが  そんなことはただの思い込みに過ぎないのに  世間から切り取られた存在だという感覚はたまらない。切り取られ、くずかごに丸めて捨てられた。それだって、自分が他の人間とは違う、特別な人間だなんて思い込んでいるんだろうか。自分の思惑さえあやふやなのに、どこまで他人に気を使えるだろうか。若しくは、自分そっちのけにして他人と付き合っていくのだろうか。こんな事考えているうちは、自分から離れることは叶わない。